株主・投資家様、お客様、お取引先様、地域社会の皆様には、日頃からご理解とご支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。Nittoグループを代表して、2009年度のご報告と、2010年度の方針をお伝えいたします。
2009年度の経済環境は、前年後半の世界金融危機の大きな影響が懸念されましたが、在庫調整の一巡や各国の景気刺激策に加え、中国を中心とした新興国の内需拡大にともない、徐々に持ち直してきました。
こうした中で当社グループは、「無(む)・減(げん)・代(だい)」と称する「無くす」「減らす」「代える」の3つの視点からなるコスト構造の抜本的な改革を軸とした成長プランを推進しました。この「無・減・代」活動の成果、さらに新興国における液晶テレビ、ハードディスクドライブやタッチパネル用の電子材料、ハイブリッド車向けの工業用材料、高血圧治療貼付剤の機能材料など、前もって開発を進めていた製品が寄与し、2009年度業績は、売上高6,018億円(2008年同期比4.1%増)、営業利益560億円 (2008年同期比305.3%増)となりました。
2010年度は、海外では景気刺激策の効果などにより、引き続き回復が続くものと見込まれます。国内は、そのような海外の市場を取り込んだ企業が、改善を続けることができると考えています。しかし、秋以降の景気見通しには、一部不透明感があり、成長分野における“目利き”や変化する市場への“感度”が重要になってきます。
当社は、2010年度を「攻める年」と位置付けています。業績回復の原動力となった「無・減・代」活動をDNA化しながら、新たな成長テーマ(軸)を多く作っていきます。
工業用材料は技術・製造・販売におけるグローバル展開を今まで以上に強化します。中国やインド、さらにはトルコなど新興国の内需を取り込めるような仕組みを構築しつつあります。
電子材料は韓国や台湾の競合との競争が激化する傾向にありますが、足元の技術優位性を保ちながら、将来に継続かつ安定した利益をもたらすビジネスとすることを目指し、一層の体質強化を図ります。
機能材料は、医療関連材料(経皮吸収型テープ製剤)と高分子分離膜(逆浸透膜)を次の事業の柱となるよう加速して育てていきます。
当社は2018年に創業100周年を迎えますが、その時においても「持続的に成長し続ける企業」であることを目指しています。
金融危機で失われたものは非常に大きく、世界経済が元に戻るにはまだ1~2年はかかるものと思われます。そのような中、最初は小さくてもよいからたくさんのテーマ(軸)をたて、そこからいくつかを大きく成長させていきます。そのため新たな事業領域へ舵を切って踏み出します。そのキーワードが「Green(グリーン)・Clean(クリーン)・Fine(ファイン)」です。
今後は、基盤事業であるインダストリアルテープ(未来産業を支えるシートやフィルム)とオプトロニクス(次世代ディスプレイ周辺材料はじめエレクトロニクス材料)をベースに、グリーン(地球環境への貢献)、クリーン(新エネルギーの支援)、ファイン(ライフサイエンス)を新たな成長分野と位置付け、新製品や新用途でグローバルに事業を展開していきます。それを実現するためにも、企業の質の向上として、「自ら考え行動しチャレンジする多様な人材」の育成にも継続して取り組んでいきます。
当社は、株主の皆様への利益還元を、経営の最重要課題の一つとして位置付けています。
配当金につきましては、「ものづくり」をする企業として、急速な技術革新への対応と顧客ニーズにタイムリーに応えるための研究・開発、生産に関わる積極的な先行投資などの必要性、そして財務状況、利益水準、配当性向等を総合的に勘案して実施します。
2009年度は、期末配当を中間配当と同額の一株につき20円、年間配当は40円とさせていただきました。2010年度につきましては、設備投資と利益など総合的に勘案して、20円増額の年間60円を予定しています。
Nittoグループは「新しい価値の創造」を経営理念とし、社会での存在意義としています。この経営理念を実現するための行動基準が「オープン・フェア・ベスト」です。
現在のように経済の大転換期を迎え、新しい価値観が生まれてくるような時こそ、企業の総合力や社会的責任、そして真価が問われると認識しています。そのために当社グループは、事業を通じて社会に貢献することはもちろんのこと、行動基準に示す「品質」「安全」「チャレンジ」「コンプライアンス」「環境」に対し、一人ひとりが誇りと気概を持って誠実に取り組んでいきます。このことが、株主・投資家様、お客様、お取引先様、地域社会の皆様、従業員とそのご家族など、当社グループを取り巻くステークホルダーの皆様に対する社会的責任を果たすことに繋がると考えています。
ステークホルダーの皆様におかれましては、Nittoグループへの変わらぬご支援、ご指導を、今後ともよろしくお願い申し上げます。
日東電工株式会社 取締役社長
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