Nittoグループは公正かつ透明性のある経営を行い、社会から信頼されるグループをめざします。
Nittoグループは企業価値を高めるため、企業活動を支えていただいているすべてのステークホルダーと長期的・継続的に調和ある活動を行うことが重要であると考えています。これを実現するための組織体制は下図のとおりです。取締役9名と監査役5名で構成され、それぞれの立場から公正・透明性を確保するようにし、さらに、そのうち取締役には社外取締役として2名、監査役には3名の社外監査役が含まれ、それぞれの見識でガバナンスの機能を果たしています。
コーポレート・ガバナンス体制図
Nittoグループは組織体制を生きたものにし、それぞれの専門分野ごとに従業員が行動の指針とするため各種の基本方針を定めています。「会社法にもとづく内部統制基本方針」、「財務に係る内部統制基本方針」、情報の適時開示に関する「ディスクロージャーポリシー」、「環境・品質方針」、「情報セキュリティ基本方針」などです。これらを縦糸とすると、横糸として従業員一人ひとりが企業人あるいは社会の一員として守るべき共通の指針として「経営理念」「行動基準」「ビジネス行動ガイドライン」を定めています。
これらの指針は高度な次元で統合されており、体制とあわせてガバナンスを実効力あるものにしています。
Nittoグループが社会から信頼されるためには、人の育成が欠かせません。また、ガバナンスに直接関係する人だけでなく、従業員一人ひとりの倫理観の高さが要求されます。業務の核になっている管理職には毎年コンプライアンス研修を実施し、さらにはグループ全員にCSRを含む研修や専門分野における研修を実施し、職業倫理とともに良識ある社会人として信頼される人材の育成を目指しています。
Nittoグループでは、内部監査や専門部署による輸出管理、反社会的取引、環境・安全・品質などの監査を実施しています。監査結果は責任部署や経営層や監査役に報告されています。監査で把握された問題点は改善されていきます。また、金融商品取引法にもとづく内部統制評価を「統制環境」「リスク評価と対応」「統制活動」「情報と伝達」「モニタリング」「ITへの対応」の6項目にわたって実施しています。今後は内部監査と統制評価をうまく関連させてガバナンスの強化を図っていくことが必要と考えています。
Nittoグループはリスクを低減し、万一発生した場合は損失を少なくするためのリスクマネジメントを基本としています。リスクマネジメントはガバナンスを構成する重要な要素であると考えています。
リスクの対象は日本だけでなくグローバルに、また事故災害だけでなく事業活動に伴なうさまざまなリスクにまで視野を広げています。CSR推進委員会で、経営に重大な影響を及ぼすリスクを抽出しています。抽出されたリスクは優先順位をつけ、主管部署を特定し、予防、回避、対策、転化などの措置を講じます。
ヘルプラインは、法令違反や不正を発見した場合、まず上司へ報告・相談し、それでも解決できない場合に、直接ヘルプライン窓口に通報するものです。この制度は組織を通せない案件の解決手段として位置付けられており、グループ内のことであれば、誰でも利用できます。
2009年度は主にハラスメントに関する通報がありました。人権啓発を中心にした再発防止対策を講じています。
Nittoグループのものづくりを、ステークホルダーの視点から監査するために、QES監査部があります。ここでは「品質はお客様の視点、環境・安全は従業員とその家族および地域社会の立場」で監査し、リスクを発見して改善を働きかけています。
対象は日本、アジア、オセアニア、アメリカ、欧州にあるNittoグループの拠点のうち、ものづくり・設計を行っている70拠点です。2009年度は、前年度監査のフォローアップ監査とあわせ、22拠点の監査を行いました。2010年度は42拠点を訪問し、品質・環境・安全に関する監査を実施する予定です。
見つけたリスクと対策内容をまとめた報告書は、Nittoの取締役・監査役をはじめグループ各社の関係者に配信され、共有されています。
Nittoグループでは、製品に関するリスクを低減させるために、「製品リスク委員会」を設けて活動を行っています。
リスクの内容ごとに下記の分科会をつくり、抽出したリスクの対策を2009年度も実施しました。
2010年度も引き続き、リスク低減に取り組みます。
Nittoグループの製品は、直接消費者向け(PLリスク)の製品が少なく、部材・部品が多いため、最終製品で問題が起きると、その製品全体を賠償しなければならないリスクがあります。
そのため、ガイドラインをつくり、契約書などで賠償を明記するなど、事前対策をとっています。
法規制に関しては、RoHS指令、REACH規制への対策を検討しています。
資材・原料・委託品への有害物質混入については、グリーン調達基準を制定し、適宜見直しています。
製品出荷段階の内装及び外装の表示方法について、法規制上問題ないか検討しています。
例:GHS(危険有害性)表示、UL(難燃規格)表示、原産地表示等
リスク分科会 | 09年度実績 |
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品質賠償 |
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化学品 |
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包装・表示 |
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その他 |
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Nittoグループでは、「オープン・フェア・ベスト」の精神に基づき、グローバルな視点で調達を行っています。
環境と安全にも配慮し、グリーン調達を行い、化学物質についても問題がないか、化学物質管理センターとシステムを組んで管理を行っています。
また、お取引先様が、コンプライアンス違反もしくはその恐れについて通報できるパートナー・ホットラインも設け、問題がある場合には速やかに対処するよう努めています。
品質統括部では、「お客様に満足していただける品質づくり」を掲げ、2009年度は生産技術部門と品質・環境・安全統括部門と合同で設備デザインレビューの標準化を進めました。各種の手法を導入してトラブルの未然防止を推し進め、品質の安定化に効果をあげています。
化学物質管理センターでは、人体や地球環境にとって有害な化学物質を使用しないために、化学物質管理に関する自主管理規程を制定して、国内外の原料調達の管理を行っています。また、2009年度は、営業部門や他の関係部門と共に当社製品に含有している化学物質に関するお客様からの問合せに対し、迅速にお答えするための体制整備を行いました。
それらの活動は、2008年12月に運用を開始した「Nittoグループ化学物質管理データベース(NCM)」をさらに充実させNittoグループの化学物質管理におけるガバナンスに活用されています。
認証関係では、2009年8月27日にアメリカの日東電工オートモーティブバージニアが、自動車産業の品質マネジメントシステムであるISO/TS16949の認証を取得しました。2009年9月24日には、日東電工チェコがEUのAEO認証を取得しました。AEO(Authorized Economic Operator)は、コンプライアンスや貨物管理について、税関が認定した企業が輸出入手続きで優遇される制度です。
Nittoグループにおける化学物質管理のガバナンス
Nittoグループでは、グループ全体の目標である「重大・重要災害ゼロ」を目指し、各拠点の地道な安全活動への継続的な取り組みにより、重大・重要災害は長期にわたり低下傾向にありますが、2010年1月21日に中国のグループ会社で従業員一人が亡くなる事故が発生してしまいました。製造工程で、通常とは異なる作業によって有毒ガスが発生し、それを吸い込んでしまったためです。
すぐにNitto本社と現地で対策本部を設置し、遺族の方や行政機関などへの対応を行いました。また、二度とこのような事故が発生しないよう、事故が起きた工場はもちろんのこと、国内外のすべての工場で再発防止のための厳しい指導を行っています。
N災害度数率の推移
Nittoには、社員がより働きやすく、社会・地域との共生がしやすいように、次の制度があります。
従来から、使わずに失効した過去の年休を「疾病や妊娠・出産後、育児、介護」などの理由により取得できる制度がありましたが、新しく次の理由でも取得できるようになりました。
家庭事情による退職者が、再びNittoで働ける制度です。従来は、いったん退職すると再就職は難しい状況でしたが、この制度によって、退職時に希望登録をすると、再雇用が可能になりました。
Nittoグループの従業員として、知っておかなければならない項目を定め、社員が講師となって、国内はもちろん、海外も含めた全従業員を対象に教育を行い、社員の質の向上に努めています。内容は、Nittoの歴史、製品、品質、安全、環境保護、法律、経理など多方面にわたり、科目群も現在3つに分かれています。
研修風景(台湾日東電工)
研修風景(アメリカのアヴィーバ・ドラッグ・デリバリー・システムズ社)
2009年から2010年にかけて各国で新型インフルエンザが流行しましたが、Nittoグループのハイドロノーティクスと日東電工テクニカルでは、米国のワクチン接種推奨週間中の2010年1月19日に、社内でワクチンクリニックを提供しました。
2社で合計128名が接種
オーストラリアでは、企業が従業員に健康診断を行うことは義務付けられていませんが、このほどビクトリア州政府が助成金を出すこととなり、2009年11月23日、日東電工オーストラリアでも健康診断を実施しました。
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