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事業活動

液晶表示関連材料やエレクトロニクス業界向けの製品が好調でした。

経皮吸収型テープ製剤は新製品も加わり、さらにグローバルに展開していきます。

液晶表示関連材料

2009年度は継続的な原価低減や生産性向上活動の効果に加え、日本のエコポイント制度や中国の家電下郷政策など、各国の経済刺激策を背景に液晶テレビ向けの需要が大きく回復したことにより、順調に推移しました。

日本や欧米の液晶テレビの大型化需要や新興国のブラウン管テレビ買換え需要などに遅れることなく機敏な対応ができました。また、LED(発光ダイオードと呼ばれる半導体)バックライトを搭載した新しい液晶テレビが登場し、薄型・軽量、鮮やかな画像、低消費電力などで人気を博しましたが、そこにも当社の光学フィルムが一役買っています。

液晶用光学フィルム

2010年度は、立体画像を楽しめる3Dテレビ需要が立ち上がることが期待されている中、当社の技術力を生かした光学フィルムで引き続き貢献をしていきます。

2009年度は、光学フィルムに加えてタッチパネルを搭載するスマートフォン(多機能型携帯電話)等のモバイル機器が拡大したことにより、透明導電性フィルム「エレクリスタ™」も順調に拡大しました。

透明導電性フィルム「エレクリスタ™」

液晶市場がそれほど遠くない将来に成熟期を迎えた際においても、安定かつ継続的な利益をもたらす事業であることを目指し、一層の体質強化と革新的な製品開発に注力していきます。

エレクトロニクス関連材料

プリント回路材料は、パソコンの記憶装置であるHDD(ハード・ディスク・ドライブ)の伸長に伴い、フレキシブルプリント基板「NITOFLEX®」と精密回路付き薄膜金属基板「CISFLEX®」が好調に推移しました。従来、HDDは主にパソコンに搭載されていましたが、ネットブックパソコンの登場で、外付けタイプと呼ばれる機種が増えました。また、テレビの録画装置としても普及しはじめており、プリント回路材料の用途も広がっています。

半導体封止材料は、市況は本格的な回復には至りませんでしたが、環境対応樹脂を中心に緩やかな回復となりました。

精密回路付き薄膜金属基板「CISFLEX®」

電子プロセス材料は、半導体向けが顧客の設備投資抑制や汎用製品の競合参入の影響を受け、低調に推移しました。一方、電子部品向けは、最終製品である薄型テレビ、パソコン、携帯電話等の需要が上向き、搭載される電子部品の生産が回復したため堅調に推移しました。

今後、既存製品のさらなる合理化による収益拡大と、成長分野における新製品開発に注力します。

「2009年(超)モノづくり部品大賞 電気・電子部品賞」受賞

「CISFLEX®」はモノづくり推進会議と日刊工業新聞社が共催する「2009年(超)モノづくり部品大賞 電気・電子部品賞」を受賞しました。本賞は日本のモノづくりを再興し、日本の産業・社会の発展に貢献することを目的として、「縁の下の力持ち」的存在である製品・部材に焦点を当てています。

「CISFLEX®」は独自の「感光性ポリイミド」とメッキで配線を形成する「セミアディティブ技術」を駆使した微細な配線が特徴の製品です。

授賞式で。左から3人目が当社社員

テープ関連事業

エレクトロニクス業界向けは、薄型テレビ、パソコン、HDD等の需要が中国をはじめ新興国を中心に大きく伸長したことにより、光学用保護フィルムやシーリング材料などが好調に推移しました。

携帯電話においては、タッチパネルを搭載したスマートフォンの増加により、光学用透明粘着シートが急拡大しました。タッチパネルの構造は、透明導電膜など複数の部材の積層体で、それらの貼り合わせには光学用の透明粘着シートが使われています。この透明粘着シートは、タッチパネル内部の隙間を埋めると同時に光の屈折率を調整し、より鮮明な画像を映し出すことにも貢献しています。タッチパネルのさらなる普及に伴い、多様化する需要に対応するためにも、今後製品ラインアップを拡充していきます。

光学用透明粘着シート「LUCIACS®」

自動車業界向けは、年度前半の減産調整の影響はあったものの、エコカー減税などによるハイブリッド車の生産台数増加で、電気絶縁材料は好調に推移しました。

勃興する新興国市場での内需ビジネス拡大の一環として、2009年11月にインドに初の現地法人を設立し、テープ関連事業を中心としたビジネスモデルの構築に取り組みはじめました。テープ関連事業は、インドに限らず高い成長の期待できる新興国へ積極的に進出してグローバル展開を図っていきます。また、地球環境に配慮した「ものづくり」を推進し、新製品開発にも注力します。

ハイブリッド車用の電気絶縁材料

インドに初の現地法人を設立

インドは自動車、携帯電話、家電などを中心に今後も高い経済成長が見込まれており、外国企業による直接投資に関する規制緩和も進み、外国からの投資金額も年々高い伸びを示しています。また、インドの経済は内需主導型で社会インフラへの投資額も大きく、対GDP比でも大きく伸張しています。このような状況の中、今後大きな市場が見込まれる新興国での内需ビジネスの拡大を戦略的に推進すべく、インドでは初めての現地法人を設立しました。

■新会社の概要

  • 社名:日東電工インド
  • 事業内容:粘着テープ関連事業を中心としたマーケティング、販売及び加工
  • 設立時期:2009年11月
  • 所在地:ハリヤナ州マネサール(ニューデリーの南西約50Km)
  • 資本金:3億円
  • 総面積:3,300m2
  • 従業員数:約20名(立ち上げ時)

2009年11月に設立した日東電工インドの建物

メディカル事業

2009年度は金融危機の影響を受け、医薬費が世界的に節約される傾向にありましたが、Nittoグループの経皮吸収型テープ製剤(医薬品)のクロニジンパッチ(高血圧症治療薬)が米国で新たに認可を取得し、販売を開始したため好調に推移しました。現在、経皮吸収型テープ製剤は日本と米国合わせて8品目あり、トップクラスの上市製品数ですが、さらなるテープ製剤のパイプライン(※注)を拡充していきます。同時に中国など新興国向けの展開を強化してグローバル化を推進します。

※注:パイプラインとは、薬剤の開発初期段階から販売開始までの過程にある開発品のこと

中国では、日本国内でトップシェアのツロブテロールパッチ(喘息治療薬)の輸入承認を取得して販売を行っていますが、一層の拡販に注力します。

メディカル事業は、当社が新たに提供していく価値「グリーン(地球環境への貢献)・クリーン(新エネルギーの支援)・ファイン(ライフサイエンス)」における「ファイン」を担います。事業を拡大するため現行事業の中心である経皮吸収型テープ製剤に加え、当社のコア技術である高分子合成や加工技術を用いてバイオ医療の分野でも着実な活動を行っています。たとえば、疾病治療の目的として期待されている核酸医薬の分野では、2つの米国現地法人、日東電工テクニカルとキノベートライフサイエンスが核酸医薬の合成を行う時に使うポリマービーズ(固相合成用担体)「NittoPhase(ニトフェーズ)® HL」を開発し販売を開始しています。さらには、体内の狙ったところへ薬を運ぶ分子標的治療用生分解性ポリマーの研究開発も継続して行っています。

NittoPhase(ニトフェーズ)® HL

経皮吸収型テープ製剤で培った技術と高度な高分子合成・加工技術を活かした製品群により、疾病に苦しむ患者さまやそのご家族の辛苦を少しでもやわらげることができるように、さらなる努力を重ねていきます。

クロニジンパッチ

米国グループ会社であるアヴィーバ・ドラッグ・デリバリー・システムズ社(以後AVEVA社)が、米国食品医薬品局(FDA)に認可申請中であったクロニジンパッチ(高血圧症治療薬)の認証を、2009年8月18日(米国時間)に取得しました。

クロニジンパッチはAVEVA社がライセンスホルダーとなり、販売提携先であるパー社(本社:アメリカ、ニュージャージー州)に独占的に製品を供給します。これにより米国で量産する経皮吸収型テープ製剤の品目数は、フェンタニルパッチ(癌性疼痛緩和剤)、ニコチンパッチ、グラニセトロンパッチ(制吐剤)を加えて4品目となりました。

世界最大のマーケットである米国医薬品市場におけるNittoグループのメディカル事業の拡大をさらに図ります。

クロニジンパッチ(高血圧症治療薬)

メンブレン事業

逆浸透(RO)膜は、「グリーン・クリーン・ファイン」における「グリーン(地球環境への貢献)」の中心となる事業です。2009年度は、中東・インドなど新興国向けの需要は堅調でしたが、景気悪化により日本、アジア、欧米向けを中心とした工業用途は低調でした。

海外の海水淡水化プロジェクトも2009年度は案件が少なく、全体としては低調に推移しました。

約10%増加した世界最高レベルの省エネ型海水淡水化用新製品、あるいは中国で塩分や汚染物質を多く含む原水から工業用水を確保する、従来製品より運転時の消費電力を約30%抑えても造水可能な省エネ型の新製品などです。また、生産能力面では、将来の需要拡大を想定して、滋賀県草津市の滋賀事業所内に増設した逆浸透膜の新工場が2009年度より稼動しています。

2010年度は市場も回復して、新たな成長に向かうものと見込まれていますが、これらの新製品と生産能力を武器にして、海水淡水化や排水再利用プロジェクトなど受注拡大に挑む所存です。

  • 海水淡水化用「省エネ・省コスト型」逆浸透膜エレメント「SWC®6-MAX」

  • 中国工業用水向け「超低圧・低汚染」逆浸透膜エレメント「PROC®20」

オーストラリアの海水淡水化用プラントを、新製品の逆浸透膜で受注

Nittoグループは、ティース・デグレモン(Thiess Degremont)社から、オーストラリア・ヴィクトリア州で建設中の海水淡水化プラント向けに、新製品の逆浸透膜「SWC®6-MAX」を受注しました。

オーストラリアは国土面積の約6割が農用地で、水の使用量の約3分の2が農業用途です。しかし、雨が少なく、世界で最も乾燥した大陸と言われています。特に2000年以降は、大きなかんばつが何度も起きています。そのため、海水から淡水をつくるプラントが、現在ヴィクトリア州南部ウォンサギー近郊のバス海岸に建設中で、2011年12月末までに完成予定です。稼動すれば、日量44万トン、年間では約1億5千万トンの水をメルボルンからジーロング、南ギプスランド、ポートタウン西部に供給します。

今回採用された「SWC®6-MAX」は、業界最高レベルの透水性と塩分除去率を誇る逆浸透膜です。海水を淡水化する際に必要な操作圧力を低減することができ、省エネルギーにも貢献します。

この結果、世界での海水淡水化分野では、累積約470万トン/日の造水量となり、従来通り当社がトップシェアを誇っています。

Nittoグループのオーストラリアにおける逆浸透膜納入・受注実績

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