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粘着テープの総合情報サイト Tape Museum

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第6章 合成高分子がもたらした転機 剥離剤(2)

テープの歴史館

剥離剤(2)「丸いボール芯」の威力

剥離剤が塗られていなかった、初期のビニル粘着テープ

剥離剤は今ではほとんどの粘着テープになくてはならないものですが、初期のビニル粘着テープには、剥離剤が塗られていませんでした。

日東電工株式会社では、1950年(昭和25年)にビニル粘着テープの開発に着手し、翌年の8月には製造を開始しました。まだ初歩的技術でしたので、ビニルフィルムの片面に塩化ゴム系の粘着剤を塗布したシンプルな構成でした。

支持体の塩化ビニルフィルムには、剥離剤や下塗り剤が塗布されていません。表裏一体のフィルムの片面に粘着剤を塗り、長さ10メートル、20メートルのものをボール芯に巻き上げます。それを19ミリメートル幅に切断した粘着テープですが、粘着剤が剥がれて背面に取られたりすることなく、安心して使うことができました。「きっと、粘着剤が塗布された面にしっかり接着しているからだろう」と、当時は思われていました。

トラブルが教えてくれた「丸いボール芯」の威力

それがどうも違うとわかったのは、公団住宅が各地に建築されはじめた頃です。
天井の低い場所でテープを使う電気工事屋さんの要望で、接着面が外側になるようにボール芯に巻かれた「逆巻きテープ」が試作されました。

しかし、使ってみると、一番外側の部分(最外層)だけは外面に粘着剤がありましたが、その下の第二層目からは粘着剤が全面内層に転移してしまい、逆巻きではない普通のテープになってしまいました。試作品は失敗です。逆巻きテープは当時の技術ではできませんでした。(その後、逆巻きテープはニトムズのカーペットクリーナーで成功しました)。

では、なぜ塗布面が、巻き戻した時に反対面に転着したのでしょう。それは、ボール芯が丸いからです。
実は、両面同質のフィルムの片面に塗布された粘着剤は、フィルムの両面に同じ力で接着しています。しかし、ボール芯に沿ってテープ全長が丸く巻かれているので、使用する時、内側の方の粘着剤が剥がれにくい角度になっていたのです。

やがて、需要が急増し、品質の向上が要求され、どんな使われ方をしても粘着剤が所定の面から剥がれないテープにするため、剥離剤を塗る(背面処理)ようになりました。ビニル粘着テープの後を追って出現してきた各種の支持体のテープは、下塗り・背面処理などの多層構造を持ったテープになりました。

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