第6章 合成高分子がもたらした転機 表面保護用粘着テープ(5)
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表面保護用粘着テープ(5)新たな機能材料としての粘着テープ
エレクトロニクス分野でも欠かせないテープ
表面保護用粘着テープは、海外にもほとんど類を見ない製品でした。1967年に輸出が始まると、欧米の鋼板メーカーや鋼板加工メーカーからいっせいに注目を浴びました。
特に、鋼板加工製品の外観品質に厳しいヨーロッパでは、絞り加工時の傷防止に対する意識が高く、大きな反響を呼びました。加えて、欧米から要求される性能も、すでにこの改良品は兼ね備えていたのです。
表面保護用粘着テープは、その後もさまざまな分野で支持され、表面を保護する対象も、銘板、化粧板、プラスチック板、ガラス板などに広がっていきました。
さらに、米国半導体メーカーの目に止まり、より新しい可能性を見出されます。それは、半導体をつくる工程で、ウエハを固定したり切断したりするときに合理化を図る用途でした。この後、粘着テープは、半導体といったミクロの世界でも重要な活躍を始めることになります。
新車の輸送時にも、保護フィルム
表面保護用粘着テープを貼って輸送される新車新車の塗膜を保護するときにも、表面保護用粘着テープは欠かせません。
大きな船で海外に輸出される新しい自動車の屋根やボンネットに、白いフィルムが貼ってあるのをご覧になったことはありませんか。この白いフィルムは、塗料メーカーである関西ペイントと、粘着テープメーカーの日東電工株式会社とが、新車に塗られた塗料を保護するために共同開発したものです。
このフィルムが、輸送する時の新車を、鉄粉、塵埃、鳥のフン、酸性雨などから保護しています。長旅が終われば、後は剥がすだけ。新車がピカピカの状態で皆さまのお手元に届けられている背景には、表面保護用粘着テープの活躍があるのです。
新たな機能を持った粘着テープの端緒
粘着テープは、その構成材料の性能レベルが高くなるにつれ、用途範囲が次々と拡大していきました。それは同時に、仮接着、接合、結束といった粘着テープ本来の機能から、表面保護、絞り性能向上など、新たな機能材料として活躍・展開されていくことでもありました。
表面保護用粘着テープは、まさに新しい粘着テープ技術の端緒となったのです。