第3章 粘着テープ誕生 カレンダーロール
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カレンダーロール粘着テープ誕生で重要な役割を果たした機械
重要だった、ゴムを布に塗る技術
粘着テープ製造法の元祖の1つが、ゴムを布に塗る技術です。レインコートなどに使われるゴム引布にしても、絆創膏や絶縁テープなどの粘着テープにしても、ゴムを布に塗ることが重要でした。
まず人々が考え出したのは、溶剤を使う方法です。ゴムを溶剤に溶かし、それを布に数回塗る方法です。1820年代にイギリスで普及したマッキントッシュのレインコートも、この方法でつくられています。
この方法では溶剤が蒸発するため、大量生産をするとしばしば火災が起き、危険でした。また、溶剤は高価なため、人々は他の方法を探していました。それを発明したのが、アメリカのエドウィン・マーカス・シェフィーです。
溶剤を使わずに、圧力でゴムを布に塗り込むカレンダーロール
シェフィーは、もともとは革製造業者でしたが、ブラジル製ゴム靴の輸入業者がばくだいな利益を得ていることを知り、ゴム工業に興味を持つようになりました。
彼は、ゴムをテレビン油に溶かして布に塗って実験していましたが、テレビン油は高価でしたから、その節約のために、強い圧力で布にゴムを圧入する方法を考案しました。カレンダーロールの発明です。1836年にアメリカ特許を取り、1837年に機械がすえつけられました。これは当時のゴム業界にとって画期的な機械で、モンスター(怪物)と呼ばれました。
加硫法で有名なグッドイヤーも愛用
この機械を入手し愛用した人物の一人が、加硫法で有名なグッドイヤーです。1844年、彼の加硫法の特許の実施例には、溶剤を使って薄いゴムシートをつくる従来の方法と、カレンダーロールを使って薄いゴムシートをつくる新しい方法が記述されています。この時代に、早くも自分の工場で設備と技術を持っていたのです。
今では、ビニルシートや各種ゴムシートなどの他、自己融着テープ、大口径石油・ガスパイプライン用防食テープや多くの布テープは、カレンダーロール方式でつくられています。しかし、溶剤法でつくられている粘着テープも多く、環境の面からも、いかに溶剤を使わずに製品をつくるかに、日夜研究が重ねられています。