第7章 私たちの文化・生活とともに 荷造り用テープ(2)
- TOP
- テープの歴史館
- 第7章 私たちの文化・生活とともに
- 荷造り用テープ(2)
荷造り用テープ(2)用途に合わせて種類も豊富なテープ
日本で生まれたクラフト紙粘着テープ
引っ越しの時、段ボール箱などを封かんするのに欠かせない粘着テープも、最近はいろんな種類が出ていて、どれを使ったらいいか迷いますね。
最もポピュラーなのは、クラフト紙粘着テープです。粘着テープ全体の生産量の40%近くを占めています。
クラフト紙は木材を原料とした強い紙です。クラフト(kraft)とは、ドイツ語およびスウェーデン語で「強さ」の意味です。ふつうは茶褐色で、包装用や大型封筒、セメント袋などに適しています。
日本では、この紙に特殊加工をして粘着テープにしました。実は、クラフト紙粘着テープは日本独自のものなのです。手で切ることができ、作業性がよく、しかも落下衝撃に強く、値段も安いのが特徴です。
最近は、クラフト紙の色も定番の茶褐色だけでなく、白や赤、緑などカラフルになってきました。荷造りの際に「食器などの割れ物は赤いテープ、衣類は白いテープ」と使い分けると便利です。
また、表面がツルツルせずに、重ねて貼ったり字が書けるタイプも出回っています。
ちなみに、アメリカではクラフト紙粘着テープはほとんどなく、クレープ紙を使った粘着テープが主流を占めています。アメリカでは、かつて粘着テープの工業化の基礎をつくったマスキングテープとしてクレープ紙が使われており、こうした歴史の違いがそのまま現在の粘着テープに反映されていると言えるでしょう。
用途に応じて種類も豊富に
段ボールの封かんに欠かせない荷造り用粘着テープ荷物が重いときは、布粘着テープが安心です。スフ(木材などを原料とした人造繊維で織った布)、綿布などの片面に、天然ゴムや再生ゴムなどでできた粘着剤が塗られています。柔軟で厚手ですから、あらい面にもよくつきます。また、重さや衝撃に耐えられる十分な強度を持ちながらも、はさみを使わずに手で切ることができ、便利です。
布粘着テープとともに、重量物の包装に使われているのが、包装用ポリプロピレン粘着テープです。石油化学が生み出した高分子素材の傑作とも言えるポリプロピレン・フィルムに粘着剤を塗ったテープで、軽量物、重量物、手貼り、機械貼りなど用途に応じていろいろなバリエーションのある優れた包装用テープです。日本で最初に応用され、今では欧米諸国でも広く普及しています。