ブックタイトルNittoグループ統合報告書2019
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Nittoグループ統合報告書2019
戦略トップメッセージ変化する経営環境の中で柔軟に進化し続ける私たちを取り巻く市場環境は、これまでにないスピードで目まぐるしく変化しています。自動車業界においては電動化や自動運転、コネクテッド、シェアリングなどの技術革新が急速に進んでいます。また、エネルギー業界や情報通信業界との融合など、従来の業界の枠を超えた再編も始まろうとしています。さらにはA(I 人工知能)やIoT(Internet of Things)をはじめとするデジタル化の進展や米国における保護主義の台頭による経済活動への影響、そしてグローバル規模での企業間の競争激化など、外部環境は著しい変化の中にあります。このような世界の変化に的確に対応するため、経営理念と企業文化である「TheNitto Way」を土台としながらも、私たち自体は柔軟に変わり続け、進化し続けることで、お客様と社会の期待に応えていく必要があります。中長期の経営戦略を立てていくために「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」を策定では、これからの社会やお客様が求める価値とは何か。このことを考える際に「サステナビリティ(持続可能性)」の視点は欠くことができません。Nittoグループが持続的に成長していくためには「社会課題解決と企業価値向上の両立」というESG(環境・社会・ガバナンス)の観点での企業経営が必要であると考えています。そして、Nittoグループがどのようなイノベーションを創造し、経営の品質をどう高めていくかも重要です。そのため、2019年度初めに製品・サービスを通じて取り組む課題と経営基盤の強化により取り組む課題の両面から「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」を策定し、経営におけるESGの位置付けを明確にするとともに取り組みの優先順位を付けました。今後は、中長期の経営戦略の中に組み込んでいくことが課題です。そのためには、経営陣が具体的なところまで示していくことが重要ですし、何よりもトップ自ら方向性を示し、従業員に伝えていきたいと考えています。Nittoグループでしかできない価値の創造それを可能にする培ってきた強み、そしてビジネスモデルNittoグループには、これまでの歴史で培ってきた高分子合成・加工技術をベースとした基幹技術の根幹や企業文化に加えて、そこから生まれる多様な事業領域や強い知的財産権、さらに幅ひろい業界にわたって製品を提供している顧客基盤といった強みがあります。そして、持続的な成長を実現し長期にわたって企業価値を向上させ続けるためには、事業領域を拡大していかなければなりません。それを可能にするのがNittoグループ独自のビジネスモデルである三新活動とニッチトップ戦略です。例えば、三新活動の事例のひとつである、多孔質樹脂フィルター「テミッシュR」は、水を通さず通気性を実現する衣料品向けの用途から始まりました。自動車ランプの通気口という「新」用途開拓や、精密ろ過機能といった技術開発による「新」製品開発を通じて、クリーンルームのエアフィルターから携帯電話、自動車電装品まで幅広い「新」需要を創造してきました。また、表面保護用フィルムの用途開拓および製品開発を経て、電子部品の製造工程における固定用という自社に優位性のある市場を創造したリバアルファRは、グローバルニッチトップTM製品のひとつでもあります。また、Nittoには、粘り強くさまざまな技術・製品を育てる風土があります。例えば、タッチパネルに使われるITOフィルムは、40年以上前から研究開発を進め1980年代には製品化していましたが、当時は需要がほとんどありませんでした。それでも、お客様のニーズの半歩先にあると思える技術は残すという考えのもと、用途の開拓を続けたのです。その結果、2000年代に入りスマートフォンの登場で状況が大きく好転しました。今は大きくなった事業でも、最初はニッチから始まっています。新製品や事業を次々と生み出していくことで、それらが束になりNittoの事業が形作られてきたのです。そして市場環境の変化に応じて、従来のお客様へ製品(=モノ)を販売するだけでなく、Nittoグループが持つ総合力を活かしたトータルソリューション(=コト)へとさらにビジネスを進化させていくことが必要です。Nittoグループ独自のビジネスモデル「三新活動」「ニッチトップ戦略」で持続的な成長を実現しますイノベーションによる価値共創(製品・サービスを通じて取り組む課題)世界が直面する社会課題解決に貢献するためには、製品・サービスを通じた直接的な取り組みが求められます。私たちはさまざまな分野へ製品を供給していますが、数ある社会課題の中で、事業機会として高い成長性が見込める市場かどうかとNittoグループとしての強みが発揮できるかという観点から、イノベーションによる価値共創として3つに絞り込みました。17 Nitto Group Integrated Report 2019 18